身勝手な恋情【完結】
この瞬間でも、体は気持ちいい。
短い期間とはいえ、蓮さんは私のツボを知り尽くしていて、なおかつさらに自分でも知らなかった扉を開けたくらいだから。
だけど心は……少し冷めていて。遠くから自分を見つめている。
こうやって触れられても、愛してるって、幸せな気持ちになれないの……。
「っ……や、だ……」
熱い涙が頬を伝った。
「――ひよ?」
蓮さんがふと、我に返ったように私の名前を呼ぶ。
首を横に振る。
「あ、やっ、だ……あ、いやっ……もう、しないでっ……!」
いつも彼と寝るとき口にする甘えた「イヤ」じゃない。
自分でも驚くほど大きな拒絶の声が出た。