身勝手な恋情【完結】
誰でもいいわけじゃない。
「あのっ……」
泣きそうになりながら、それでも否定しようと顔をあげると、頬を傾けている社長の顔がすぐ目の前にあって。
「でも、だから……そんなひよだから、俺にふさわしい……かもね……」
たまたま、光の加減だったかもしれないけれど、なぜか私を見つめる社長の瞳が少し寂しそうに見えて。
だけどそれってどういうこと……?
言葉を失った次の瞬間、私の唇はふさがれていた。
う、そ!
ここでキス!?
いきなりのことにガツンと殴られたような衝撃をうけたけれど、始業時間前ギリギリとはいえ人が通らない保証はない。
こんなところを見られたら大変だ!