身勝手な恋情【完結】
「押しかけてきた……?」
その発想はなかった。
「ああ」
ため息をつきつつ、うなずく蓮さん。とても嘘を言っているようには思えない。
でもどうしてだろう……。
「もしかして、可憐、さんのこと……?」
他に思いつかないから、彼女の名前を口にした。
「どうもあの子、反抗期らしいんだ。最近よく家を空けていると聞いて、連絡が取れないから一緒に探してほしいって、仕事場にね……」
「そう、だったんですか……」
数時間前の二人の姿を思い出した。
あれは一緒に可憐さんを探していた、ってこと?
にしては、どうも知寿さんは楽しそうに見えたというか
娘を探して心配している母親には見えなかったっていうか……まさかね。
私の勘違いかな。