身勝手な恋情【完結】

「帰れない確率のほうが高かった。安請け合いするのは嫌いだし……帰れなかったら、ひよ、がっかりするだろう」

「――はい」



それは間違いなくガッカリだ。

だけど私のあずかり知らぬところでお仕事一生懸命がんばって、早く帰ってこようとしてくれたんだよね。

それを考えるとやっぱり嬉しい。

ああ、忙しい私の心……。



「で、家に送った後、可憐にこっそり両親の間に入ってほしいって言われてね」

「両親?」

「親父と知寿。うまくいってないらしい」

「――」

「で、俺もどうしたものかと、考えてる……」



蓮さんは非常に苦悩に満ちた表情を浮かべる。


なるほど、なんとなくわかったような気がした。



可憐さんは『兄である蓮さん』に、最近うまくいっていないという両親の間を取り持ってほしくて、高槻デザインスタジオにやってきたんだ。



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