身勝手な恋情【完結】

ギュッとされたくらいで、そんな簡単にご機嫌を直してやらないんだから、と思いつつも――

「な、、なんですかっ……!」

毛布から顔を出した私を見て。



「抱っこさせてよ。したいんだ……」



と優しく笑われれば、もう私の反抗心なんか、泡と消えてしまう。



そして私の望み通り、私の体はすっぽりと彼の二の腕に閉じ込められて

温かいぬくもりの中、何度も優しくキスをされながら深い眠りに落ちた。



――――……




体のすぐそばで、サクサクと音がする。


なんの音……?


うっすら目を開けると、蓮さんがベッドの中でクッキーを食べていた。

ポロポロとクッキーのくずが落ちて、シーツにどんどんゴミとして溜まっていく。


蓮さんったら……って……

あれって草介さんに貰ったクッキーだ。



< 330 / 469 >

この作品をシェア

pagetop