身勝手な恋情【完結】
ギュッとされたくらいで、そんな簡単にご機嫌を直してやらないんだから、と思いつつも――
「な、、なんですかっ……!」
毛布から顔を出した私を見て。
「抱っこさせてよ。したいんだ……」
と優しく笑われれば、もう私の反抗心なんか、泡と消えてしまう。
そして私の望み通り、私の体はすっぽりと彼の二の腕に閉じ込められて
温かいぬくもりの中、何度も優しくキスをされながら深い眠りに落ちた。
――――……
体のすぐそばで、サクサクと音がする。
なんの音……?
うっすら目を開けると、蓮さんがベッドの中でクッキーを食べていた。
ポロポロとクッキーのくずが落ちて、シーツにどんどんゴミとして溜まっていく。
蓮さんったら……って……
あれって草介さんに貰ったクッキーだ。