身勝手な恋情【完結】
「蓮さん……」
「ん……起きた?」
私の呼びかけに、食べかけていたクッキーを飲みこむ蓮さん。
「おなか空いてるんですか?」
もしかしてもう朝になったのかと窓のほうに目線を向けたけれど、まだ太陽はのぼっていない。
「もしかして、食べてない?」
「うん」
「なにも?」
「――」
ごくりとクッキーを飲みこんだ蓮さんは無言だ。
やっぱり何も食べてないの?
何か作らなきゃ!
驚いてベッドから飛び起きた。
「なにか作りますね!」
「いや、いいよ」
そして蓮さんは、袋の中から一枚クッキーを取り出して私の口の中に差し出す。