身勝手な恋情【完結】
「それよりもこれ、最後の一枚。お前にあげる」
クッキーを?
「……?」
蓮さんの意図がつかめず首を傾げる。
すると、
「やっぱりあげない」
蓮さんはパクッとクッキーを口の中に放り込んでしまった。
「あの、よくわからないけど蓮さん、やっぱりおなか空いてるなら――」
「ここの今のオーナー、男だけど。そいつの手作りなの?」
「へ?」
「お前、俺のスタジオで働いてるくせに知らないわけ。この店のはす向かいにあるセレクトショップの内装、俺が昔手がけたんだよ」
クッキーが入っていた紙袋には、ノアの店名のスタンプが押されている。
蓮さん、それで私がどこにいたかわかったんだ。
「ああ!」
「ああ、じゃない」
蓮さんは軽くため息をつくと、私の肩に手を乗せベッドに押し倒す。