身勝手な恋情【完結】
「はい。作ります。甘いのと、しょっぱいの2種類」
食が細い蓮さんだけど、私の作るフレンチトーストはお気に入りで、よくリクエストされるんだ。
嬉しくて、蓮さんの胸に顔をすり寄せる。
「朝が来るまでまだ時間がある。ゆっくりおやすみ、ひよ……」
優しい声、優しいハグ……
早く眠れるように、蓮さんが腕や肩をさすってくれる。
「うん……おやすみなさい……」
蓮さんに優しくされるまま、私は目を閉じる。
そのゆったりとした眠りの中――
「ひよは――俺の側にいてくれる……?」
蓮さんがそんなことをささやいていたなんて私は知らなかった。
ただ、こうやって愛されても『女の勘』が危険だと告げている
そのことを無視することは出来ないと感じていたんだ――