身勝手な恋情【完結】
「大丈夫よ、シャンパンなんていくら飲んでも酔わないんだから」
「どういう理屈よ、それ……」
呆れながらも、よく食べ、よく飲む和美の様子は、見ているとやっぱり、こっちまで楽しくなってくるんだよね。
そうやって楽しくみんなで会話したり、わいわいやっていたりしたのだけれど――
チラチラと蓮さんと祐さんの様子を見ちゃったりして。
二人はさすがに仕事の続きがあるからか、ノンアルコールビールを口にしている。
だけど蓮さんは、相変わらず食事には手をつけていない。
きっと頭の中はデザインのことでいっぱいなんだろう。
少しくらい食べてもらわないと……。
蓮さんの側に移動し、お皿に彼が食べられそうなものを乗せて差し出す。
「社長、召し上がっていないみたいなので、どうぞ」
社長、だって。なんだか恥ずかしい。蓮さんって呼ぶようになってからのほうが短いのに。
職場じゃほとんど蓮さんと口きかないからかな……。