身勝手な恋情【完結】
「――ていうか、ほんとやだあー! 人生きびしいー!」
長テーブルの奥のほうで、完全に出来上がっている和美がクダを巻いているのが見える。
「尾崎さん、なんだか荒れてるね!」
「もしかして彼氏とうまくいってないの?」
若い人間ばかりの職場だからかアルコールが回っているからか、それともその両方か、必然的に恋愛トークになりがちで、みんな和美のほうに興味津々だ。
彼氏……?
和美に彼氏なんて聞いたことなかったけど。
もしかして最近できたのかな?
なんて、ちょっと私までワクワクしていると、
「違いますよ、彼氏じゃないです、いい感じってだけの人です、だけどいい人すぎて、なんていうか、自分が汚れてる気がして……!」
なんて、眉を八の字にしてテーブルに突っ伏す和美。