身勝手な恋情【完結】
「――苦しいの?」
和美が何を言いたいのかはっきり理解できるわけじゃないけれど――
きっとそうなんだ。
好きで、好きで、大好きで。
感情を持て余して、苦しいんだ。
「じゃあ、ぶつかってみれば?」
「え?」
「告白しちゃえ」
「こく、はく……?」
「当たって砕けろ!」
「くっ、砕けたくないわよ!」
目をぱちぱちさせる彼女。素で、酷く驚いているのが伝わってくる。なんだかいつもと立場が逆転したみたいでおかしい。
気持ちを伝えたほうがいいなんて……そう簡単にできることでもないのに。
もしかすると、私も少し雰囲気に酔ってしまったのかもしれない。