身勝手な恋情【完結】
うん、きっとそう……。
「ちなみに自分が汚れているような気がする相手って、どんな人?」
焼き鳥屋さんで聞いた和美の言葉の真意を尋ねてみれば
「――なんていうか、いつも貧乏くじを進んで引くような人。めっちゃいい人。だから二人でいて『もしかしてあたし特別じゃない?』って思っても、誰にでも平等に優しいから、かえって踏み込めないというか……下手に告白したらひどく困らせてしまいそうで怖くて……」
という答え。
「へぇ……」
意外、と思いながらうなずく。
だって和美ってすっごくシャキッとしてる人だし。
中学のときだってとんがってる系の男子と付き合ってたはず。
そんな進んで貧乏くじ引く人なんて……。
ああ、そうだ。和美が恋してる相手って、まるで祐さんみたいなんだ。