身勝手な恋情【完結】
一瞬驚いた顔をしたけれど、可憐さんは笑顔を取り戻し、ふふふ、と笑いながら蓮さんを見上げる。
なのに、蓮さんったらそんな可憐さんの視線から目を逸らし
「ああ……まぁ、とにかく物好きな女なんだよ」
なんてうそぶくから、目が丸くなってしまった。
「物好きって失礼な! 一緒に住みたいって言ったの、蓮さんですよっ!」
「はぁ? 覚えてないね。お前の妄想じゃないの?」
「も、妄想……! もうっ、ひどいっ!」
エレベーターの中で、唇を尖らせ憤慨する私。
それを見て楽しげに、声をあげて笑う蓮さんは、ちょっと可愛くて、嬉しかったり……。
やっぱり好きな人が笑っていてくれると、嬉しい。
好きになったばかりの頃は、自分だけ好きでいればいい、側にいられたらなんでもいい、なんて、ある意味強烈な片思いをしていたような感じだったけど……。
今は素直に思えるんだ。
蓮さんが笑ってくれると、幸せなんだって――。