身勝手な恋情【完結】
「ああ、それはそうよ」
否定しません。はい。
「でも、ちゃんとあなたのこと、好きなんだ」
「――そう、かな……」
どうも素直にそうだね、とは言えなくて(不遇の時代が長かったから?)俯いてしまった。
ああ、なんだか恥ずかしい……。
っていうか、本当やっぱり恥ずかしい。
とりあえず自分のことを話題にされるよりも――と、可憐さんに問いかける。
「あの、一緒にいた男の人は? 可憐さんのお友達?」
「え、織音……? ううん。お友達っていうか……ただ、一方的に……追いかけてるっていうか……」
「へぇ……」
「って言うか、織音知らない?」
「知らない」
「うっそー遅れてるね!」
「う……」
「見せてあげる」
そして彼女は、バッグの中から分厚い手帳を取り出し、中をぱらぱらとめくり、数枚の切り抜きを取りだした。