身勝手な恋情【完結】
「――写真……?」
中を覗き込むと、それはハッとするほど美しい少女の写真だった。
ベリーショートの美少女が、裸足で膝を抱えている写真。
赤い目をした、どうやら泣いていたに違いない彼女は本当に吸いこまれそうな、人の心をかき乱すような雰囲気があって、見とれてしまうような美しい――
そして、対象に対するカメラマンの愛情が痛いくらい伝わってくる。
「織音の本業はカメラマンなの」
「へぇ……」
パンク好きの、派手できれいな男の子にしか見えなかったけど、まさかカメラマンだったとは……。
「今はあの『リンボ』のオーナーもしてるけど本業はカメラマン。すっごく有名なんだから」
どうやらあのクラブは地獄の周辺――辺獄という意味の『リンボ』というらしい。なんだか趣味がいいような、悪いような……。