身勝手な恋情【完結】
持っていたフォークを置いて、誤魔化すようにカフェオレを口に運ぶと
「食べないならちょうだい」
「うん……どうぞ」
和美は私の前のお皿を取って、空になったお皿をテーブルの端に移動させ切り分けたパンケーキをパクパクと口へと運ぶ。
「うん、おいしいっ♪ で、元彼のことなんだけど?」
「ああ……うん……」
「なんなのよ~。はっきりしないわねえ」
「――」
だって、それどころじゃないんだもの。という言葉は飲みこんだ。
そりゃ和明のことは驚いたけれど、そのあとの社長のほうがずっと衝撃的だったし……。
本当、それどころじゃない。
だけどそれを和美には説明できない。