身勝手な恋情【完結】

持っていたフォークを置いて、誤魔化すようにカフェオレを口に運ぶと

「食べないならちょうだい」

「うん……どうぞ」

和美は私の前のお皿を取って、空になったお皿をテーブルの端に移動させ切り分けたパンケーキをパクパクと口へと運ぶ。



「うん、おいしいっ♪ で、元彼のことなんだけど?」

「ああ……うん……」

「なんなのよ~。はっきりしないわねえ」

「――」



だって、それどころじゃないんだもの。という言葉は飲みこんだ。


そりゃ和明のことは驚いたけれど、そのあとの社長のほうがずっと衝撃的だったし……。

本当、それどころじゃない。


だけどそれを和美には説明できない。



< 39 / 469 >

この作品をシェア

pagetop