身勝手な恋情【完結】
バイクは確かに近くの駐輪場に停められていて、以前クリスマスの夜送ってもらったのと同じように、ヘルメットを渡され後ろに乗せてもらうことになった。
モタモタとヘルメットをつけていると、草介さんが私のあごひもを調整しながら顔を覗き込んできた。
さすがお兄さんキャラ……
こういう距離のつめ方が天才的に上手だ。
「ちなみに、ひよさんの彼氏って、どんな人?」
「えっ!? どんなって……うーん……」
蓮さんがどんな人かって、なかなか説明しづらい。
真剣に悩んでいたら、
「独占欲強い系?」
と、思ってもみなかった問いかけ。
「いや……あくまでも彼の嫉妬は演技っぽいっていうか……計算っていうか……」
振り返ってみれば、和明のこととか微妙にチクチク言われたことはあったけど、蓮さん、本気で妬いてるわけじゃなさそうなんだよね。