身勝手な恋情【完結】
ただ、ヤキモチ妬いてるよってフリをして、私をドキドキさせてるだけで……。
もちろん今は「好かれてる」ってわかってるけど、でもやっぱり「嫉妬」って蓮さんにまったく似合わない感情だと思う。
そもそもヤキモチ妬くのって辛いし。
そういうこと、彼がするはずがない……。
「彼よりも私のほうが、いつもヤキモチ妬いたり泣いたりじたばたしてる感じです……」
思い出しただけで凹む。けど、事実だ。
「ふーん……」
なんだかシミジミした表情で、草介さんはうなずくと、
「そうは見えなかったけどなぁ……目で殺すってああいうこと……」
なにかをとても小さな声で、ささやいた。
それは私に聞かせるというよりも、なんとなく思っていることを口にしたような雰囲気で……。
「え、なにか言いましたか!?」
「ううん、別に! さ、行こうか!」
草介さんはあっさりと首を横に振って、バイクにまたがった。