身勝手な恋情【完結】
こうやって間近に見るのは初めてだけど……やっぱりきれいだな。
でも蓮さんより年上なんだよね。
とても見えないけど……。
彼女の元へコーヒーが届き、そして優雅にそれに一口口をつけるのを待ってから、バッグからハンカチを取り出し、中を開いてピアスを見せた。
「どうぞ」
「――」
「あの……?」
彼女は無言でピアスを見つめている。
けれど私の問いかけに、ふと顔をあげ、それから柔らかく微笑んでピアスをつまみあげた。
「ありがとう。これね、昔蓮がくれたものなのよ。生まれて初めてアルバイトしたお金で、買ってくれたの」
「――」
妬かせようとしているのはわかっている。
だからその手に乗るもんかと思ってはいるのだけれど――
チリチリと胸は焦げる。