身勝手な恋情【完結】

先週から頼まれていたプレゼン用の資料の作成にとりかかっていた私。

あと少し、あと少しと思っていたら、一人、二人と、減っていき、気が付いたら事務所に残るのは私一人になっていた。


壁にかかっている時計を見ると、そろそろ20時。

確か副社長がそろそろ帰ってくるはず。そうしたら帰ろう。


お腹もすいたし……

昨晩仕込んだ野菜カレー、きっとおいしくなってる。




「――よしっ」



出来た資料を保存して席を立ち、コーヒーメーカーに残っていたコーヒーを紙コップに注ぐ。

立ったままぼんやりとそれに口をつけていると、ちくたくちくたく、と時計の音が聴こえる。


いつもはたくさんの人が出入りしていて気づかないけれど、こうやってみると事務所って広いんだなぁ……。



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