身勝手な恋情【完結】
少年の蓮さんが……あの蓮さんが、彼女にはダイヤのピアスが似合うと考えて、そして一生懸命バイトしたところを想像したら、たまらなく切なくなるから……
「あの子、昔は本当に可愛かったのに……」
私に見せびらかすように、彼女は髪を手の甲で払ってから、そのピアスをつける。
「――人は変わります。成長できます」
「そうかしら。三つ子の魂百までっていうでしょう。そんな簡単に変わらないと思うわ」
その言葉から彼女の自信が伝わってくる。
「知寿さんは、蓮さんに変わってほしくないんですか?」
そう言った瞬間『言ってしまった!』と思わざるを得なかったのだけれど――
「――」
私の言葉に、彼女は一瞬だけ考えるそぶりを見せた後、ふっと花開くように微笑んだ。