身勝手な恋情【完結】
「今さら蓮が私のもとに戻ってくるって信じてるわけじゃないけど……自分を一途に愛した男が、他の女に目を向けているなんて、おもしろくないでしょう?」
「は……?」
どういう、こと……?
よそゆきの顔を忘れて、思い切り眉根を寄せる私。
けれど彼女は、私の反応は当然と言わんばかりに落ち着いている。
舐められてる……んだろうか。
それからやってきたのは、ムカムカと腹の底から湧き上がってくるような嫌悪感。
感情が高ぶりすぎて震えが止まらない。
なんなのよ、この人!!!!!
美人だからって……美人だからってっ……!
「なに、言ってるんですか……!」
「なにって……きれいごとの嘘なんていくらでもつけるけど、私に会うと決めたあなたに敬意を表して正直になっただけよ」
彼女はくすりと笑って、すらりと長い脚を組む。