身勝手な恋情【完結】
「時々、意地悪してごめんなさいね。よく、考えてみてね?」
「……」
「じゃあ」
彼女はまたコートをさらりと羽織り、カツカツとヒールの音を響かせてホテルを出て行った。
本当に自分が必要かどうか?
蓮さんが望まないことを押しつけてる……?
知寿さんとの短い会話を終えて――
なんだか、笑いたくなるような、泣きたくなるような、とにかく気が抜けてしまった。
本当は、断固戦ってやると思っていたのに、その戦意を削り取られたというか……
いきり立っていた気持ちが音を立ててしぼんでいく。
大きな声を出して泣きたいけれどなんだか胸につまっているみたいで泣けなくて……
なんだろう、私、疲れちゃったのかな……。
うん……疲れたのかも。