身勝手な恋情【完結】
――――……
久しぶりに帰った地元は、何も変わらなかった。
例えそれが病室の窓だとしても――
外の広い青空も、広くて、風が気持ちいい。
年が明けて冷え込んだのは数日で、最近は不思議とあたたかい日が続いていた。
なのに都心では記録的な雪が降ったとか、そんなニュースばかりで。
「東京からそんなに離れているわけでもないのにね。あ、お母さん、窓閉めるね」
換気のために空けた窓を閉め、カーテンを閉じて振り返ると、ベッドには少し不安そうな母の顔――
「ひよ、目が覚めた時あなたの顔を見れて嬉しかったけど……仕事ずっと休んでるって……本当?」
「うん」
「でも――まだ一年も働いてないんでしょう? そんなに休んで首になったりしないの? せっかく憧れの職場で働けるって言ってたじゃない」
「もう……お母さんがそんな心配しなくていいんだって。体を治すことをまず優先させて?」