身勝手な恋情【完結】
そして高槻デザインスタジオには……
母が知るとショックを受けると思って言ってないのだけれど
祐さんに電話で事情を説明し、辞めさせてくださいと告げた。
『お母さんの具合がよくなるまで待つよ』とも言ってくれたけれど、いつ戻ることが出来るかわからないし……。
そもそもただの事務の私を待ってもらう義理はない。
ただ、そんな風に言ってもらえるだけでで、死ぬほど嬉しかった。
「ありがとうございます……本当に、ありがとうございます……」
『そういう事情があるのなら仕方ないけど……せめて蓮とは直接話してやってね。あいつ何も言わないけど、落ち込んでるよ。時々窓の外をぼーっと見てるし……まさに捨てられた犬状態だよ』
「――祐さん……ごめんなさい、私、蓮さんとまともに話しないまま、こっちに来ちゃったんです」