身勝手な恋情【完結】
蓮さん一人を責めることはできない。
だって私も逃げたんだから。
『うん、わかってる。それに、携帯知ってるくせに連絡しない蓮が悪いんだから……』
祐さんはそう言って一瞬考えるように言葉を止め、改めてゆっくりと話し出す。
『庇うようであれなんだけど……蓮は昔色々あって、それで完全に人間不信で、死ぬほど疑り深くなってて、人一倍怖がりで……。だから俺は、あいつの才能を殺さないため、ただひたすらナイーブなあいつを怒らせないように、傷つけないようにって、甘やかしてたところある。おかしいなって思っても、それを正そうとか、向き合おうなんて思わなかったんだ。ごめん……』
「そんな、謝らないでくださいっ……」
『だからさ、本当はあいつのこと見捨てないでって頼みたいんだけど、それじゃ今までどおりだよね。あのゴタゴタした家のこともあるし……一緒にいても辛いばかりなら、離れるのも選択肢だと思うし、あとは任せるよ――って、あ、こらっ……!』