身勝手な恋情【完結】
『あ……そう』
蓮さんは、あっさりとうなずいた。
だけど――
どうしよう。
どうしてだろう。
私には蓮さんが……
『あ、そう』なんて、どうでも良さそうに口にする蓮さんが
電話の向こうで死ぬほど傷ついているような気がした。
あどけない、まるで子供のような瞳で窓の外を眺めながら
唇を震わせている蓮さんが見える。
「蓮さん……」
いや、泣いちゃだめだ。
私が泣いちゃだめだ。
「蓮さん」
傷つける私が、泣いてたまるもんか。