身勝手な恋情【完結】
絶対に泣かない!
「もう、蓮さんを傷つける私は、いないですから」
『――』
「これが最後です……蓮さんっ……」
どれだけ責められても仕方ないと思った。
だけど私はそれを受け止めなくちゃいけない。
声が震える。
携帯を握る手から血の気が引いて、とても冷たい。
『ひよ……』
けれど携帯の向こうの蓮さんの声は――
いつもの、甘くて低い、ハスキーボイスで。
『体には気をつけて。看病は大変だろうけど、無理はしないように……お母さんを大事に……』
「っ……」
『ひよ、ありがとう』