身勝手な恋情【完結】
「あ……」
『――じゃあ』
そして切られる携帯。
続いて、ツーッ、ツーッという虚しい音。
その瞬間、プツン、と私の心の中の何かが切れる音がした。
ぐらぐらとめまいがして、椅子に座っているのに、まともに座っていられなくて、とっさに手近なテーブルに手をついて、倒れるのを防ぐのが精いっぱいだった。
蓮さん……ありがとうって……
私……が
私が、お母さんを引き合いに出して、蓮さんに何も言わせなかったのに
それでも、ありがとうって……
「れん、さっ……」
胸の奥から、熱い固まりがこみあげてきて溢れそうになる。慌てて両手で顔を覆う。
「っく……ううっ……れん、さ……」
けれど必死で押し殺そうとした声はすぐに嗚咽に変わってしまった。