身勝手な恋情【完結】
「よかった。櫻さんが入ってくれたのはプロジェクトとほぼ同時期だったから、あまり話も出来なかったよね。一度ちゃんと話をしたいって思ってたんだけど」
「そんな……」
にっこりと笑う物腰も言葉も優しい祐さん。正直あの社長と同じ血が流れているとはとても思えない。
背は社長より大きくて、がっしりしている。対照的な二人は、まさに北風と太陽という感じだ。
ああ、癒される……。
それからどうでもいいような会話をして、ケラケラと笑っていたら、ふと鋭い視線を感じて。
ん?
何気なくそちらに目線を向けた瞬間
「――!」
思わずビクッとしてしまった。