身勝手な恋情【完結】

からかうようにささやく蓮さんの「お前」という言葉に、胸が切なくなるようになってからどのくらい経つんだろう。



季節は秋から冬に変わった。

けれど私と彼の関係は、最初の一回から何も変わっていない。

蓮さんは、ふらっと突然、週に一回、二回と来ることもあれば、まるで音沙汰がない週もある。


仕事のスケジュールはたいていわかってる。

都内にいないとわかっていれば、それほどやきもきもしないのだけれど、特に忙しいわけでもないときに彼が姿を現さないと、途端に不安になってしまう。

でもだからって私は彼に何かを言える立場ではない。

何にしたって、来るも来ないも蓮さんの自由だ。



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