身勝手な恋情【完結】
「ねぇ、それってさ……いわゆるセフレってやつじゃない?」
「――」
和美のもっともな指摘に、言い返す言葉もない。
「そうだね……うん」
へらっと力なく笑う私を見て、和美はむしろ傷ついたような表情を浮かべ、
「――ごめん」
と、目線をカウンターに落としてしまった。
「謝らなくていいよ」
彼女にずっと話さなかったのは私自身もそう思うからだ。
うなずきながら、ジントニックのグラスに口をつけた。