身勝手な恋情【完結】
とある日の金曜日。和美に話があると言われて、仕事を終えて向かったのは会社から少し離れたバー『Guido Fawkes』
お手頃な価格のバーではないのだけれど、雰囲気がいいのとフードメニューがかなり充実しているのとで、ちょっといい気分になりたいときに和美と行く場所だ。
青天目ビルヂングから少し離れているから、秘密の話をするのにはもってこいってわけ。
「――まぁ、私は死ぬほど驚いたけどねっ!」
「だよね……」
明るく振舞う和美に、なんだかこっちが申し訳なくなってくる。
私が蓮さんとそういう関係になったことは和美に話すつもりはなかった。
けれど本当にたまたま偶然が重なって――
数日前、蓮さんが私の部屋から出てくるところを和美に見られてしまったんだ。