身勝手な恋情【完結】
彼に支払ってもらういわれも何もないのだけれど、和明は受け取ろうとしない。
「だから一杯付き合えよ」
「でも……」
「終電にはまだ時間があるだろ?」
「――じゃあ、一杯だけ……」
結局押し切られるように、彼の隣に座ることになってしまった。
――――……
「――へぇ……そうなんだ」
別れる前は、死ぬほど恨んだ和明と同じ空気を吸っていることに違和感を覚えながら、彼の話に相槌を打つ。