身勝手な恋情【完結】
「電気、ついてる……」
タクシーの窓から見上げたのは青天目ビルヂング。
「どうします~? 降りるんですか?」
しばらく窓ガラスにべったりと張り付いて、人影が映らないかなんてうかがっていたけれど、ピクリとも動かない私に業を煮やした運転手さんに急かされて我を取り戻す。
「おっ、降ります!」
そうよね、いつまでも窓を見張っているわけにはいかないし!
慌てて料金を払いタクシーを降りた。
こんな時間まで残ってるなんて、蓮さんか祐さんのどちらかだ。
もしかして会えるかもしれない……。