身勝手な恋情【完結】
近くの24時間営業のコーヒーチェーン店に入り、ホットコーヒーを3つ買う。
3つ買うあたり、なんだかいやらしいけど、保険のつもりで……。
正面は閉まっているから、裏口へと回り込む。
そして警備員さんに社員証を提示して、そのままエレベーターへと乗り込んだ。
エレベーターは一度も止まることなく、高槻デザインスタジオのある12階へと向かう。
に、しても。深夜のビルってどうしてこんなに怖いんだろう……。
エレベーターを降りた私。
いつもより響く足音に、自分から来たくせにちょっとビクビクしている。
「――コホン……」
ドアの前で軽く咳払いして、深呼吸。
それからゆっくりとドアを開いた。