身勝手な恋情【完結】
激しく興奮した私。念のため足音を立てないように抜き足差し足で机に近づき、コーヒーの入った紙袋をサイドテーブルの上に置く。
「――社長……?」
「――」
すうすうと眠る蓮さんの長いまつ毛……。
「きれい……」
思わずそんなことを口にしていた。
いつも人を馬鹿にしているような皮肉げな雰囲気をもった蓮さんだから、こうやって普通に眠っているところを見ると、全然印象が違う。
元が端整だから、ただ綺麗で……なんだか優しそうにすら見える。
まぁ、優しい、は言い過ぎかもしれないけどね。