身勝手な恋情【完結】
ああ、よかった……
いつもの意地悪蓮さんだ……。
思わず笑顔になっていた。
「そんなの、知ってますよ。わかってますよ……きゃっ!?」
それまで両腕を下ろしていた蓮さんは、突然片腕で私の背中から反対側の肩をつかむようにして、ぎゅうっと体を押し付けるように抱きしめる。
たくましい腕にしっかりと抱きしめられて、もう身動き一つとれない。
こんなふうに抱きしめられたことなんてなかった。
「れん、さっ……」
もっと近くに行きたい。もっとぎゅっと抱きしめてほしい。
これが夢ならさめないでほしい……!
無我夢中で腕を伸ばし彼の首の後ろに回す。