身勝手な恋情【完結】
そして息を吐き、呼吸を整えたあと彼の目を見つめ返す。
震えそうになる声を必死に抑えて、ゆっくりと、彼に伝わるように口にした。
「蓮さん……私、あなたが好きです」
「――」
「ずっと言えなかった。言えば何かが変わるような気がして……壊れるのが怖くて、だったら現状維持でいいやって……」
蓮さんは私の言葉を静かに聞いている。
聞いてくれている、と思うと、ほんの少しだけ勇気がわいてきた。
これが最後かもしれないけれど……後悔はしたくない。
体中の勇気を総動員する。
「蓮さんが好きです。好きだから知ってほしいです……私の気持ち」