もう一度
「へたくそ」

つぶやかれた言葉にむっとして手に力を込める、が

ボン

と空気を切る音と前を横切ったボールがネットにあたる音が混ざって

なんとも間抜けな音がする

「っ。少し黙ってて!!」

五月蠅いわね!!

もう一度気合を入れて、決してタイミングを逃さないように

前方を見据える



振り切ったバットは、空を切るだけでその下をボールが横切っていく

「ああ!!もう!!これじゃ気晴らしどころか、逆にストレスたまります!!」

どうしてくれるんですか!!黒崎先生!!

「行ったことないから行ってみたいって言ったのどこの誰だよ」

いいながらバットは海斗の手に渡って、

無言で下がってみていると、見事に次のボールが空中を飛んでいく

海斗からああ、ホームランじゃないか

なんてつぶやきが漏れるものだからその背をけり付けてやろうかと思った

「野球部だったんですか!」

なんか似合わないですけど!!
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