もう一度
その日の午後一番

スタットコールが鳴り響く

対応したのは、しるふ、海斗、神宮寺

処置室に入るとつんとした消毒液の香りがいつもより鼻につく

「立花、ライン」

「はい」

それだけで海斗は挿管を、しるふは海斗の支持を遂行する

鳴り響く心拍音に少しだけ息が詰まる

「エコー入れるぞ」

挿管を終えた海斗がしるふの向かい側につく

映し出される白黒の映像

ふと息を吸った瞬間、体に広がった処置室の香りに

カラン、と乾いた音を立てて手に持っていた器具が落ちる

「立花」

海斗の案じるような声が遠くに聞こえた

あ、これはやばいやつかもしれない

耳の奥がもやがかかったように、けれど頭につくほどの耳鳴りがする

「大丈夫、です」

目を閉じて手を手首を握れば、小さく震えていることに気がついた
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