もう一度
ああ、本当にこれはやばいやつだ

どっちが上か下かもわからなくなるような感覚に

思わず意識を手放した

最後に聞いたのは、鋭い彼の声



額に添えられた手がひんやりとしていて気持ちいい

ゆっくりと目を開けると自分が横になっていることがわかる

「黒崎先生」

横には、椅子に腰かけた海斗がいた

見下ろしてくる瞳は、予想外に優しい

「…すみません」

「謝るな」

沈黙に耐えかねて口を開けば、容赦なく返される

「はい」

といっても状況的に謝っておくのが、筋ではないだろうか

海斗の手が額から頬に移って手の甲で撫でてくる

その触れるか触れないかの感覚が心地よくて目を閉じる

「医局長が、今日は寝てろと」

「あ、でももう大丈夫だよ。ちょっとした貧血…」

瞬間交わった視線
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