もう一度
「えと」

何が、言いたいんだろう

「彼、日本で収まっているような器じゃないでしょう?今度うちの病院でオペチームが結成されるのよ。
ぜひそれに加わってほしくて」

「そのために日本に帰ってきたんですか」

「そうよ。あとは、まあ、一度黒崎病院で働いてみたかったし」

これで日本に思い残すことはなくなったけれど

「アメリカにいた時の同期も黒崎君に戻ってきてほしいって思ってるの」

いい機会だと思った

「彼はもっと国際的な場所で活躍すべき人材。確かにここの水準は高いけれど、所詮日本だもの。限界はあるわ」

だからね

そう言って振り返った芳川の瞳が、真っ直ぐに射抜いてくる

「黒崎君の足枷には、ならないで」

足枷

そう言われた瞬間、自分でも顔が引きつったのが分かる

「黒崎君、あなたをかわいがっているみたいだけど、それで彼の可能性が潰れるのは、私許せないから」

それだけ海斗には人望があるということか

< 25 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop