もう一度

想い

「ほら、飲みなさい」

差し出されるジョッキビール

「ん」

溢れんばかりの泡とその下に控える液体を喉に流し込む

でも、頭だけはさえたままだ

「にしてもよく許してくれたわ、黒崎先生」

昨日貧血で倒れたばかりだというのに

まさか今日しるふを貸し出してくれるとは思わなかった

それとも彼も独り悶々としているしるふを手に余しているのだろうか

「足枷、なのかなあ。私」

少なくなったビールを見つめながらしるふがつぶやく

「わかんないんじゃない?足かせになってるかなんて」

第3者の意見でしょ

運ばれてきた軟骨の唐揚げに手を付けながら飯田がけだるげに返す

「でも海斗だったらたぶん私が一人前になるまで面倒見るよ」

途中で他の医師に預けていくような責任感のない人ではない

だから余計にその言葉が突き刺さった

「私に言わせれば、ただのやっかみなんだけどね」

「やっかみ?」
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