もう一度
「でも、黒崎先生の隣に並べるくらいの医者になりたい。あと、大変なこといろいろあると思うけど、それも全部乗り越えていきたい」

「そう」

「でも、少し怖い」

嫌われるのが

隣に居るべきは、自分じゃないと言われるのが

「怖くなるくらい好きってことでしょう。でもね、そうやって怖がってたら何も変わらない」

というよりたぶんいつか失う

すれ違いなんて気がついたら生じているものだ

「ま、そんなに不安で苦しいなら別れるのも手だけどね。その前に素直になってみたら」

飯田の言葉に、空中を睨み付けていたしるふが、ふと視線を上げる

「しるふに今必要なのは、覚悟よ」

覚悟

思っていることを、不安を口に出す

素直になる

弱い自分と向き合う覚悟

そして、海斗を信じる覚悟


なんて真面目な話をしていたのはほんの数十分前のこと

「なんでさ、あんなに女心が分からないんだと思う?」

もてるのに

嫌味なほどもてるのに
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