もう一度
なんだかんだ言って彼は優しいのだ

どんなに口で面倒くさいやらつぶやいていても結果として

しるふを放っておくことはない

それがわかってしまうと

「ちょっとだけ認めたくなるのよねー」

無邪気で純粋な彼女を守る立場に立っても良いと

頬杖を突いた飯田の前で、気持ちよさそうに寝息をたてるしるふを眺めがらつぶやいた約20分後

この間に起きるかと思ったが、しるふが身じろぎひとつせずに眠りこけていた

手持ちぶたさに残っていた食事を突いてたら、呆れ交じりの海斗と視線がかち合った

しるふと飯田の姿を認めて海斗がまずしたことは、ため息をつくこと

「お疲れ様です」

「お疲れ」

「もしかしてまだ病院にいらっしゃいました?」

「まあ」

海斗がしるふの頬を軽く叩く

「ああ、それは本当にすみません」

眉を寄せて抗議するように反対を向くしるふに、海斗が諦めた様にこつんと頭を叩く

もちろん、優しめに

「いや、ちょうど上がろうかと思ってたところだったし」

だからと言ってまさかお迎え要請がかかるとは思っていなかったが
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