もう一度
「黒崎先生」

頬杖をして見上げた瞳

いつだってそんなに感情を宿していることは、ない

もしかしたら自分には、かもしれない

「黒崎先生この間の昼休み芳川先生と話してましたよね」

アメリカ行の

「聞いてたのか」

「聞こえちゃいました。黒崎先生が断ってるのも」

海斗があの時芳川の誘いを迷いなく断っていなければ、たぶん自分は

今しるふに別れれば、と助言していたに違いない

「そこで疑問があるんですが、どうして黒崎先生はしるふを選んだんですか」

しるふ以上にハイスペックな人黒崎先生の周りにはたくさんいるじゃないですか

海斗との間に沈黙が流れる

どちらも外さない視線

先に視線を外したのは、海斗だ

ため息交じりにしるふの腕を肩にかける

それでも起きやしない姫君は、さすがと言えよう

「しるふが、しるふだから」

「といいますと」
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