もう一度
「お待たせしました」

秋風が気になる今日この頃

海斗は病院の中でしるふを待つようになった

寒いのだろう

「しるふが行きたいところって、ここ」

見せられたスマホの画面

「あ、そう。たぶん」

検索してくれていたらしい

「徒歩20分てとこか」

言いつつ立ち上がる海斗を歩き出す

ふと見上げた空は真っ黒で、あ、海斗の瞳と同じ色

なんて思ってしまった

たどりついたバーのカウンター席に腰かける

どうもこの背の高い椅子は座りにくくて苦手だ

特にスカートなんて履いていると

「あまんまり飲むなよ」

連勤明けなんだから

隣で、運ばれてきたグラスに口をつけたしるふが、おいしい、とつぶやいたのを聞いた海斗の言葉

「大丈夫よ。これくらい」

そう言って飯田に呼び出されたのは、何回になるだろう

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