もう一度
「なんでって。興味がないから」

思わずあげた視線が、海斗と交わる

「いや、アメリカだよ、海斗、興味がないって…」

「アメリカにいる全医者が、俺の名前しか知らないというのなら考えないでもない」

でもそんなこと有り得ないと以前の研修で知ってしまっている

「えと…」

「だから、どこに行ったって黒崎病院跡取りっていういらない情報はついて回るんだよ」

それが海外だろうが、離島だろうが

結局のところどこからか情報が洩れて、その瞬間彼らの目の色は変わる

「だって、世界有数の医者で結成するチームだって」

芳川さんが

「ここにだって荒井や塔矢がいるだろう」

別に技術的に劣っているとは思わない

「まあ、そうだけど」

「それに名前に拍が付いている医者を集めることに何の魅力も感じない」

だから行く意味なんてない

「そっか」

なんか納得できるような出来ないような

アルコールが口の中にふわりと広がる

「急にどうしたんだ」
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