もう一度

エピローグ

ごそりと体を捩るとすぐさま自分のものではない温もりにぶつかった

「…ん」

目をやれば、ぼんやりと逞しい背が映る

なんだ、海斗か

最近では驚かなくなった彼の存在

海斗に背を向けるように再び寝返ってから再び目を閉じる

すぐにやってくるまどろみ

再び意識が浮上したのは、それから一刻半経った頃

がっちりと海斗に背後からホールドされた状態で

「って!ここまではいい話じゃん!」

つか、ただののろけじゃん!!

あー、はいはい

いつだってあなたの言うことはのろけよ

なんて遠い目をしながら、向かいで梅酒を煽るしるふを眺める

「で、何がそんなにご不満なのさ」

せっかく黒崎先生がしるふのことをなんで選んだか聞けたっていうのに

口に含んだ枝豆はいい塩加減だ

「最近海斗と寝てると妙に抱き着いてくるからさ」

あの人左側むいて寝るのが癖なのに

だからいつも海斗の背中しか見えない
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